それにしても綾瀬はるかが
おかしなことになってます。
プロデューサーのオッサンたちの妄想力を
この娘の中の何かが否応もなく掻き立てるんでしょうな。
「この子にあんなコトや、こんなコトしてほしい…」
で、「あんなコト」ってのがサイボーグで
「こんなコト」ってのが座頭市と…
歪んどる・・・
歪んどるぞオッサンども!
…ま、面白けりゃいーんですけどね。面白けりゃ。
ひとりで旅を続ける盲目の娘・市(綾瀬はるか)。
彼女は戒律を破り仲間から追放された“はなれ瞽女”だ。
眉目秀麗、三味線と唄の腕前は一級
そしてひとたび仕込み杖を抜けば、市に敵う男はいない…。
『はなれ瞽女おりん』という映画(有馬稲子の舞台も有名)をご存知でしょうか。
篠田正浩が女房の岩下志麻を主人公に、1977年に撮った映画。
男に手篭めにされたおりんがはなれ瞽女になり
(瞽女の掟では、男を作ることは厳禁)
幼い頃に生き別れた父親を探して旅をする…という物語。
“女版座頭市”という印象が強い本作ですが
物語のベースはむしろこの『はなれ瞽女おりん』。
ただでさえ現代より各段に生きづらかったはずの時代に
女の身で、盲目、そして宿無し。
弱者同士の生活共同体であった瞽女というグループからも追放された
いわば
アウトサイダーの中のアウトサイダー。
それこそ一日一日を生き延びることすら難しい
体を売れば物乞いもする、そうせざるを得ない存在だった訳です。
そういった現実の残酷さは本作にもある程度ですが受け継がれ
(綾瀬はるかのレイプシーンあり)
現代劇にはない魅力になっていると言っていいでしょう。
(さすがに「どめくら!」とかは言いませんけどね)
では気になる殺陣の方はどうか。
座頭市といえば、勝新の殺陣。
低い姿勢で、コマのようにアクロバティックに動き回る
とても人間の動きとは思えない異常な早技。
本作ではそういうイレギュラーさをあえて選ばず
正統派の居合に徹しています。
綾瀬はるか、剣技はもちろん初めてでしょうが
撮り方の工夫もあって、そんなに悪くない。
この映画の問題は、ズバリ脚本。
書いたのは『NANA』や『大奥』の、浅野妙子ってゆー人。
市を守ろうとする浪人(大沢たかお)
昔かたぎのヤクザの二代目・虎次(窪塚洋介)
野武士集団のボス、悪役の万鬼(中村獅堂)
とゆーサブキャラたちの描き方が、どーにもぬるい。
それぞれが過去のトラウマとか、コンプレックスで動いてるんですが
この内容があまりにも現代的とゆーか
そんなことどーでもええやん!
ってな、超ミクロなことでウジウジしてるんです。
江戸時代ですよ、江戸時代。
「現代の若者にもアピール」ってことで連ドラの女脚本家連れてきたんでしょーが
切った張ったのモチベーションとしては、あまりにも説得力不足。
『シグルイ』読んで出直してきやがれ!
ってなもんです。
…ただし私、終盤の展開にちょっとだけ感情移入。
ネタバレになるので詳しくは申せませんが
この映画の中心テーマとなる、原初的な命題を最後に叫んで
今日の記事の終わりにしたいと思います…。
強姦にSAY NO!和姦にSAY YES!
ヤッて命の泉湧く。
(10月25日公開)
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