『探偵スルース』(1972・米)★★★★★
見たい見たいと昔から思っていたんですけれども、なかなかお目にかかれず。
リメイク版が来るってんで本気で探したら、新宿TSUTAYAにありました。
「ほぼ密室&騙し合い心理劇」って聞いてたんで
頭使う映画なのかなぁ、苦手だなぁと構えて見ましたが
どちらかというと感覚に訴えてくる映画だと思いました。
ローレンス・オリビエとマイケル・ケインの演技はもちろん素晴らしいんですが
ギミックに満ちたストーリーと、人形館じみた不気味なセットが対をなしていて
美術が映画を支えるってのはこういうことなんだなぁ、と心から感心。
ちなみに現代アート風のリメイク版も見ましたが
こちらはどうしようもない駄作でした…。
『ファンタズム』(1979・米)★★★★
“シルバーボール”ってなんじゃらほい。
(こーゆー言葉使うと自分がおじいさんになった気がしますな…)
監督はドン・コスカレリ。
『プレスリーVSミイラ男』があまりにも面白かったんで
代表作を見てないんじゃ話にならん、ってことで鑑賞。
ボールがひゅーって飛んできて、ドリルがシャキーンって飛び出して
頭にぐさーって刺さって、血がぴゅっ、ぴゅっ、ぴゅーって。
全部町山氏が言ってた通りだ!
ひー。最高。
『告発のとき』(2007・米)★★★★
最近のトミー・リー・ジョーンズはまったくもって凄すぎ。
一世代前のアメリカの、強い父親像。
ほんとに今のこの人しかできない役って感じですもんねぇ。
息子の悲報にまったく動じないところが、逆に涙を誘います。
この映画、シャリーズ・セロンがそれに負けてないところもいい。
『クラッシュ』よりも『ノー・カントリー』よりも私はこの映画を買い。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007・米)★★★★
音楽にレディヘのジョニー・グリーンウッドを起用したのが大当たり。
オープニングの映像×音楽の“ただごとじゃない感”だけで
こいつは傑作に違いないと決めつけました。
(『パリ・テキサス』のライ・クーダーを思い出すのう…)
もともとダメな人がどんどんダメになり
最終的には完璧にダメになるという、私の大嫌いなタイプのお話ですが
何か凄ぇもん見ちゃったなぁ…とゆー後から来る重み、尋常じゃなかったです。
『フィクサー』(2007・米)★★★★
この時期、去年のオスカー作品賞候補作を続けて見てたんですが
どいつもこいつもことごとくバッドエンドなことに唖然。
今のアメリカって相当キてるんですかね、やっぱ…。
そんな中でこの映画だけは
ジョージ・クルーニーに汚れた主人公を演じさせながらも
そこからきっちりハリウッド的ラストまで持って行ったことに拍手。
日本での扱いは地味でしたが、もうちょっと褒められていいと思う1本です。
シドニー・ポラックの遺作かと思ったら、『近距離恋愛』にも出てたのね…。
『クライマーズ・ハイ』(2008・東映=ギャガ)★★★★
原田眞人って『ガンヘッド』『おニャンコ・ザ・ムービー』『狗神』しか見たことなくて
それに加え前作の『魍魎の匣』が試写室を焼き打ちしたくなるほどの駄作だったので
この映画に関しては一切期待してなかったのですが…すっかり圧倒されちゃいました。
「クライマーズ・ハイ」という比喩を中心に物語を紡ごうとする試みは
正直、完全に空振りに終わっていると思うんですが
それを補って余りある、報道現場のディティールとスピード感。
これこれ。こういう邦画が見たかったのよー。
『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006・米)★★★★★
輸入DVDで見逃し、劇場で見逃し、レンタル屋で新作の棚に並んでいたのを見逃して
その間、世間での絶賛の声を散々聞かされ、どんどん手を出しにくくなりまして。
でもやっぱ見るしかないよなぁ…と、無意味な逡巡のあげく鑑賞。
「『サランドラ』の数段上を行くジョギリっぷり」は評判どおり。
何がいいって、オリジナルに比べテーマがよりシンプルに鋭くなってるところ。
”核実験と畸形”ってとこにポイントが絞られてるので、見る側も迷いがない。
水頭症という病気、『ブラックジャック』を読んで以来トラウマだったのですが
この映画見てそれがさらに悪化しました…。
映画のすみずみまでミュータントの呪いが充満した、水爆級破壊力を持った1本。
最高っす!
『ウインズ』(1992・米)★★★★
これ、なんで当時見なかったのか自分でもよーわからんのですが
なーんも考えんと見れる、めっさ面白い映画ですな!
マシュー・モディーンは相変わらず情けなく虚ろなハンサムを好演
スカルスゲールドの変人ぶりも楽しい。
ジェニファー“ダーティダンシング”グレイは
なぜかこれ以降まともな映画にほとんど出ていませんが
キャリア中、こん時が一番きれいなんじゃないですかね。
『どぶ』(1954・新東宝)★★★★★
たまにこのブログにコメントを下さったりする某女史が
人生ナンバーワンに挙げてらっしゃったので鑑賞。
おつむの弱い天使のような娼婦に、ひとつの部落全体が寄っかかって
最終的に殺してしまうという、どうしようもなく暗いお話。
主人公の元ネタは『道』のジェルソミーナなのかなーと思って製作年数調べてみたら
なんとこの2本、同じ年の作品なのですね!
主人公が死んだ後、まわりの人間が初めて彼女の大切さに気づき
泣き崩れるというラストも完全に同じ。
偶然って恐ろしい…。しかも両方とも超傑作だし。
乙羽信子の白塗りの変顔が夢にまで出てきました。
『殺人課』(1991・米)★★★★
「これこそ拾いもの!」という隠れた名作。
主演にジョー・マンテーニャ(顔は知ってるけど、それ誰だよ?とゆー感じ)
共演にウィリアム・H・メイシーと、凄まじく地味なメンツの刑事もの。
切れ者の刑事が、ある事件をきっかけに
ユダヤ人差別の迷宮にはまりこんでいくというお話なのですが
確かだと思っていた現実がぐずぐずと崩れていく眩暈のような感覚は
クローネンバーグとコーエン兄弟とリンチを足して5で割ったみたい。(褒めすぎか?)
ワゴンセールとかで見つけたら、即買いをオススメします。
『ハード・プレイ』(1992・米)★★★★
ウェズリー・スナイプスとウディ・ハレルソン主演のストリート・バスケ映画。
私の大好きなロージー・ペレスも出てます。
まー何てことないスポーツものと言ってしまえばそれまでなんですが
バスケ部分をきっちり盛り上げてくれた上に
ちょっとほろ苦い、リアルなラストで締めるとこにしびれました。
監督は『さよならゲーム』のロン・シェルトン。
『若き勇者たち』(1984・米)★★★★
これも今回が初見。
チャールストン・へストン亡き後、全米ライフル協会の最重鎮(?)となった
ジョン・ミリアスの超タカ派っぷりとかはとりあえず置いといて
全篇を貫く、めくらめっぽうな疾走感が鮮烈でした。
これは80年代アメリカを舞台にした『バトル・ロワイヤル』だ!
…なんてテキトーな仮説を唱えてみちゃったりして。うふふ。
『愛と栄光への日々』(1986・米)★★★★
私の人生ベストワン候補のひとつ『キャット・ピープル』のポール・シュレイダーが
マイケル・J・フォックス主演で撮ったロック映画。
今まで何となく敬遠してたんですが、見てよかった!
ジーナ・ローランズ演ずるお母さんの病気をきっかけに
壊れた家族が再生するというとってもいいお話。
マイケルの姉役のジョーン・ジェットが素の演技で非常に良い。
オープニングで流れる彼女の歌を聴くだけでも見る価値あり。
ブルース・スプリングスティーンも出てますよん。
『十二人の怒れる男』(1957・米)★★★★★
もうすぐ公開される、ニキータ・ミハルコフによるリメイク版の予習を兼ねて鑑賞。
まー映画史に名を刻む傑作中の傑作であり
今さら私が何を言うまでもなく、文句なし面白い訳ですが
実は私、この前日に『だいじょうぶマイ・フレンド』を見てまして
「ヘンリー・フォンダ、まさかあのクソ映画見てないよなぁ…
でもなんかやたらと真面目そうな人だから
もしかしたら息子の演技、チェックしてたかもなぁ…」
なんてことを考えてしまい、集中できませんでした。
村上龍の害毒がこんなとこまで!ちくしょう!
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