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漫画家Nのイラストと文章で綴る映画な日々

にしかわたく (漫画家)

マンガ家・イラストレーター。生まれて初めて劇場で見た映画は『グリズリー』と『テンタクルズ』の二本立て。
現実逃避のスピードを極限まで加速すればいつか現実を追い越せると信じ、今日もロスト・ハイウェイをひた走る36歳、デブ専。
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8月のおもらしラプソディー
『うた魂』(2008・日活)★★★★

この映画は許せるなぁ…うん、許せる許せる。
「本気で何かをやっている人間のかっこ悪さ」という
今までありそでなかった切り口が新鮮。
意外と深いテーマかもですよ、これ。
何より尾崎を歌う薬師丸ひろ子が必見。
日活はなかなかいい青春映画を作る。加藤晴彦の『AIKI』も大好き。


『アクロス・ザ・ユニバース』(2007・米)★★

全篇ビートルズナンバーのみによる、無理くりミュージカル映画。
主人公の名前が「Jude」なのはまだいいとして
大家のお色気おばさんの名前が「Sadie」だったり
アジア系の内気な女の子が「Prudence」とかってあたりになりますと
「もー勝手にしてくれ」とゆー感じに。
それぞれの曲のアレンジは斬新で気持ちいいですし
死ぬほど長いPV(2時間20分)と思えば許せないこともないかなと思いますが
まーとにかく異様なまでに話がつまりません。
今まで私の中では10割打者だったジュリー・テイモア。
どうしちゃったんでしょう。


『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(2008・松竹)星なし

大泉洋のねずみ男怪演などによって
「首の皮1枚で辛うじて生き残った」という体の1作目でしたが
まさか続編を作るほど阿呆だったとは…。
見た人間すべてが不幸になるチェーンムービー。
この映画に関わった奴、全員呪われろ!


『舞妓Haaan!』(2007・東宝)★★★

この映画に出てくる「ラーメンの具、分売システム」。
あれ、マンガ週刊誌でできんもんですかねぇ~。
KIOSKの店頭にバラバラのマンガが1種類ずつ平積みにしてあって
「『脳噛探偵ネウロ』と『あひるの空』と『浦安鉄筋家族』ちょーだい」
って店員のおばちゃんに言うと、そのマンガだけホッチキスで止めてくれるの。
まぁこのシステムだと、売れない漫画家は一生日の目を見ませんが。
…映画は普通に面白かったです。


『テネイシャスD 運命のピックを探せ!』(2006・米)★★

期待しすぎた。
そもそも私、ロック嫌いですし。
この映画の見どころはただひとつ
ジャック・ブラックの子供時代を演じる子役。
あのクリソツぶりは異常…暑苦しさから眉毛の角度まで完全に同一人物です。
どこからあんなクソガキを見つけてきたんでしょーか。


『デトロイト・メタル・シティ』(2008・東宝)★★

なんか、大ヒット中らしいですなぁ。
松山ケンイチのクラウザーはマンガから抜け出してきたようですし
他の部分も、原作のテイストを愚直なまでに再現。
まぁ私は最期までくすりともできませんでしたが。
唯一感心したのは、音楽。
バンドをテーマにしたマンガを映像化するって
なかなか難しいと思うんですが(『TO-Y』、『NANA』)
DMCやMC牙の楽曲、完全にイメージどおり。
つまんない映画でしたが、丁寧には作ってあるので
20年後『ドカベン』みたいに変な味が出てる可能性はゼロではない…?


『20世紀少年』(2008・東宝)★

「原作ファンのために映画にしたい」とは堤監督の言。
展開、セリフ、画面の構図にいたるまで、可能な限り原作に近づけたという本作。
キャストのキャラクターそっくりさん大集合ぶりを見る限りは
成功しているようにも思えますが…
それが映画として面白いかどうかは、まったくもって別の話。
とにかくビタ一文驚きがない映画に仕上がっております。
原作のファンはほんとにこんな映画が見たいのかなぁ…。
3作目まで無事にたどり着けますかどうか、あたたかく見守りましょう。


『前科おんな 殺し節』(1973・東映)★★★

「女番長」シリーズで鳴らした池玲子・杉本美樹コンビが
設定をアダルティーに変更して挑んだ女囚&復讐モノ。
池のださいパーマが否応なく時代を感じさせます。
おっぱい出して胸を張れる女はやっぱかっこえーのう。


『THIS IS BOSSA NOVA』(2005・ブラジル)★★★★

ロベルト・メネスカルとカルロス・リラ。
ボサノバ創世記の中心人物だった2人のインタビューをメインに構成された
2時間19分もある音楽ドキュメンタリー。
ボサノバももう歴史の遺物になっちゃったんですねぇ。
ジョビンが「イパネマの娘で」シナトラとジョイントしてる
珍しいフィルムが入ってるんですが
ブラジルの歌手たちのぼそぼそした歌い方の中にこの人が混ざると
異常にうまく聴こえるのが笑えました。
完全に趣味の世界なんで、ボッサ好き以外にはオススメしません。


『マイ・ボディガード』(2004・米)★★★

『悪霊喰』の記事を書いたときに
脚本のブライアン・ヘルゲランドのフィルモグラフィーを調べたんですが
「あ、これ見るの忘れてた…」っつーことで借りてきました。
復讐鬼と化したデンゼルが、悪人の指を1本づつ切り落としていく場面の
バカ演出に大笑い。
BGMにかかってるサルサの名曲「オエコノバ」が
指切るたびにギャーッってボリュームでかくなんの。東映か!
トニー・スコット、意外とアホでいいです。
ジェニファー・ロペスのガリガリ夫・マーク・アンソニー
珍しくデカい役だと思ったら、こんなオチかい…。


『ベガスの恋に勝つルール』(2008・米)★

クソですね、これ。
ほめるとこが一個もありません。
つーか忘れた忘れた全部わーすーれーたー。


『デイ・オブ・ザ・デッド』(2008・米)★★

今さら『死霊のえじき』のリメイクって言われてもなぁ…。
男がゾンビに胴体引きちぎられるときに
腹の皮が「びよーん」って伸びるシーンしか覚えてないもん。
ミーナ・スヴァーリのミリタリーコスプレが見たい人にのみオススメ。


『コッポラの胡蝶の夢』(2008・米)★★★

エリアーデの短編をコッポラが映画化?何ソレ?
ってことですかさず試写へ行って参りました。
中身は珍品です珍品。
雷に打たれて突如若返りを始めた老言語学者と
精神が先祖帰りし、古代言語を話し始める女のラブストーリー。
コッポラが完全にインディーズ乗りでヤンチャやってるのが
楽しいっちゃ楽しい。
ティム・ロス演じる老人が最後雪の中で…ってラストが鮮烈です。





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↓さっき『ヌード・オブ・ザ・リング』を借りて来ました。


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by taku-nishikawa | 2008-08-31 15:59 | 映画雑感 | Comments(4)
『ワイルド・バレット』(2008・米)
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ポスト・タランティーノ時代

とゆー無駄にかっこいい時代に突入して久しいクライムアクション映画界。
まぁ本当に、まさしく雨後のタケノコのごとく
タランティーノ風味の映画がたくさんたくさん作られました。
テンポを早めてとにかく詰め込んだ奴とか(ガイ・リッチー)
お手軽にスタイルだけ真似した奴とか(石井克人)
残虐方面だけを肥大化させた奴とか(イーライ・ロス)。

もう2年前くらいになりますか
やはりタランティーノ色を強く感じさせる
『スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい』って映画がありました。
これを見た私の感想は…

面白いはずなのに面白くない。

…かなりよくできてたと思うんですよ。
ある意味では、本家を超えるくらいに。
「良いタラちゃん」「おいしいタラちゃん」ばかりを詰め込んで
ご贈答用にいかがですか?って感じに。
でもこの映画が

あの頃のタラちゃん的価値

をいまだに追っかけてるのが見えてしまった時点で
なんだか萎えている自分がおりました。
『デス・プルーフ』を見れば明らかなように
タラちゃん本人すら、もう以前とは違うところに立っているのに。

要するに私は何が言いたいのか。
簡潔に表現いたしますと、次のようになります。

おやつもいいけどカレーもね!

もとい

真似すんのはいいけど

魂のない映画だけは作ってくれるな。



まぁそれはともかく
タラちゃんの子供たちは相変わらず元気です。
そんな玉石混交のオモチャ箱の中から
今年は『シューテム・アップ』という世紀の大発見がありましたが
もう1本、凄い映画がやってきます。

『ワイルド・バレット』。

なんせタラちゃん自身が
この新人監督を全力で褒めちぎっている。

ウェイン・クラマーは、脅威の監督だ。
この映画1本で、ウォルター・ヒルやロバート・アルドリッチのような
巨匠たちが住む神殿にいきなり飛び込んできた。


タラちゃんはわりと簡単に絶賛しがちな人ではあるんですが
それにしてもこの褒め方は尋常じゃない。

で、実際に映画を見てみたらですね…

面白いんです

コレが

めちゃくちゃ!


(倒置法使いすぎるくらい興奮したとゆーことで、ひとつ)


ニュージャージーの夜の街を舞台に
一丁のリボルバーとロシア人少年を巡って
イタリアンマフィア、ロシアンマフィア、汚職警官、ポン引き
売春婦、ホームレス、サイコキラー夫婦が
入り乱れてのバトルロイヤル。


この映画の魅力を少しでも伝えるべく
事件の発端となる、ロシア人少年の家族が登場するシーンを
試しに文章に置き換えてみましょう。


夕飯時、少年が帰宅すると
電気を消した居間のソファーに上半身裸の父親が座っており
ジョン・ウェインの『11人のカウボーイ』のビデオを食い入るように見ている。
スキンヘッドでガリガリに痩せた父親の背中には
巨大なジョン・ウェインの刺青が彫ってある。
部屋全体に異様な緊張感が漲っており
この父親の精神状態が普通でないことが一瞬にして知れる。
「おい、お前もここに来てデューク(ジョン・ウェインの愛称)の映画を見ろよ」
と息子に命令する父親。
「ここだ。このシーンでデュークが殺されるんだ。
 俺は子供の頃、この映画の8ミリフィルムを持っていた。
 俺はそれをフィルムが擦り切れるまで見たよ。
 アメリカへ来て、テレビでやっていた『11人のカウボーイ』を見て俺は驚いた。
 デュークが殺されるシーンがあるんだからな。
 俺の『11人のカウボーイ』は10分で終わってしまう編集版だったが
 あの不死身のデュークが、俺は本当に好きだった…」
子供は硬い表情を崩さないまま、言い返す。
「僕は見たくない。
 その映画はもう何十回も見せられたし、ジョン・ウェインなんか大嫌いだ」
その言葉に烈火の如く怒り、息子に殴りかかろうとする父親。
そこへ、美人だがいかにも弱々しい母親が、食事の乗った皿を手にして現れる。
「夕飯にしましょう。あなたの好きなTVディナーよ…」
「俺は今、デュークの話をしてるんだ!この馬鹿女が!」
吸っていた煙草を食べ物に擦り付けて消す父親。
その隙に二階へ駆け上る息子。
「あの子は育ち盛りなのよ。食事をさせなければ」
と言って階段を上ろうとする母親の顔を、手加減なしで思いっきり殴る父親。
「この家に、デュークを馬鹿にする奴に食わせる飯はねぇ!」
鼻血を流して倒れた母親を罵倒する父親。
その時、背後に気配を感じて振り返ると
能面のような顔をした息子が立っている。
リボルバーの銃口をまっすぐ父親に向けて。

「父さん、デュークはホモなんだってさ」

そして夜の街に、一発の銃声が鳴り響く…。


どうでしょう。
拙い文章と頼りない記憶で、3%くらいしか再現できませんでしたが
(8ミリフィルムは5分だったっけ・・・?)
少しは面白さが伝わりましたでしょうか。


脚本はいいし、演出はいいし、俳優もいいし、テンポも最高。
そこにこの映画の魅力をもうひとつ付け加えるなら

“夜の街”の不気味な存在感。

実はこの映画、チェコで撮影されております。
このこと自体は最近のハリウッド映画ではそう珍しいことではないんですが
プラハに作られた「妄想のニュージャージー」セットの“狭さ”と“息苦しさ”が
現実と非現実、どちらとも言い切れない独特の雰囲気を映画に与えている。
私はこれを見ていて、石井輝男の『黒線地帯』を思い出しました。


まーとにかく、見ないと確実に損する1本。
公開規模はあんまり大きくなさそうですが
何を措いても劇場へ行かれることをオススメいたします。


最後に…この邦題、何とかならなかったんスかねぇ。
『ワイルド・バレット』・・・

いかにもTSUTAYAの

“未公開作品棚”に並んでそう!

中身は最高なんですから、気合入れて宣伝しましょうよぉアートポートさん。

(10月11日公開)




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↓集中豪雨の中数年ぶりに開催された家族麻雀で四暗刻をツモった。


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by taku-nishikawa | 2008-08-29 23:11 | アクション地獄 | Comments(3)
『コドモのコドモ』(2008・ビターズ・エンド)
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9月公開の面白い邦画をもう1本。
さそうあきらの漫画を、『神童』に続き萩生田宏治が映画化した

『コドモのコドモ』。

読んで字のごとく、子供が子供を産むというお話です。


小学5年生の女の子、春名。
いじめられっ子のヒロユキと2人で興味本位で発明した
“くっつけっこ”という遊び。
その後性教育の授業を受け、自分が妊娠していることに気づく春名。
大人たちに知られないまま、どんどん大きくなっていくお腹。
悩んだ末、生むことを決意した春名を支えたのは
やはり子供たちだった…。



『JUNO』の16歳より5歳下、『14歳の母』より3歳下。
ここまでくるとほとんどSF、あるいはファンタジーって感じですが
100%ありえない話かというとそうも言えない。

「女の体ってのはよくできたもんでね…
 妊娠するってことは、子供を産む準備ができたってことなんだ」


と劇中でおばあちゃんが言っています。

そんな見る側の迷いを知ってか知らずか
映画の中では事態が着々と進行していく。


最初は「普通に面白いなぁ」と何気なく見ておった私なのですが
よく考えてみるとこの映画、メインキャストがほとんど子役。

それで「普通に面白い」ってのは

意外と凄いことなんですよ。

乱暴な言い方になりますが
私が思う邦画と洋画の一番の違いは


子役のレベル。


これは日本の子役がダメという意味ではなく
明らかに子役に演出をつける側の問題。

劇団ひまわりだか劇団東俳だか知りませんが
いかにも「子供らしい」、嫌~な癖のついたねっとりした演技をする子役たち。
あるいは、演技そのものがまったくできない子供たち。
ほとんどがこのどちらかのパターンにはまるというのが邦画の現状。

今私が言っているのは
『落下の王国』の記事でちょっと書いた「奇跡的な子役」ではなくて
普通に、自然な演技のできる実力のある子役、とゆーことです。
俳優に求められるのは
「自然に見えるけど実は普通じゃないもの」であって
これにはきちんとした指導や訓練がどうしても必要になる訳です。
特に子役の場合は、子供とのコミュニケーション能力が問題になってくる。

まぁこんな偉そうなことを言っている私ですが、子供と接するのは大の苦手。
「お前やってみろ」って言われたら、確実に失語症に陥るでしょう。

しかし監督業をやろうって人には

絶対になくてはならない能力です。


…で、今日の映画の話に戻りますと
この作品、確実にそれができている。

大人たちの反応が少々ステレオタイプかな、とも思いますが
その分、子供たちが生き生きして見えるのでOKです。

ほんと、普通っぽい映画ですけど凄いですよコレは。
これだけしつこく言ってもまだ納得しない奴は…

『20世紀少年』の惨状でも

見に行きやがれ!!!

(あーあー…ついに言っちゃったよ…)

(9月27日公開)




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↓今日、パチンコ中に停電・・・人生二度目。


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by taku-nishikawa | 2008-08-28 23:01 | ノンセクション地獄 | Comments(12)
『おくりびと』(2008・松竹)
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私は今、猛烈に悩んでおります…。

病める現代日本が抱える死活問題といえば
はい、もうアレしかありません。

吉野公佳AV問題。

思えばキャリアの最初から
どこか亜空間を感じさせる存在ではありました。
グラビアはともかく、テレビや女優の仕事は思うほどぱっとせず
「エコエコアザラク」の呪文を唱え始めたあたりから
急速にダーク・フォースを身に纏っていった彼女。
無論その“陰”は彼女の魅力そのものであり
我々ファンはそれゆえに虜になったのであります。
でもね…でも。

壊れそうな人が実際に壊れてしまう姿

というのは、見ていて本当に辛いものです。
例えば戸川純。
どこまでも陰鬱な彼女が放っていた吸引力というのは
「壊れそうだけど壊れない」という微妙なバランスによるもので
妹の死という、残酷な形で訪れたその均衡の崩壊が
彼女を芸能界から去らしめたという厳然たる事実を前に
我々は無言で立ちすくむほかないのであります。

我々は果たして

吉野公佳AVを買うべきなのか?

ひとたびパンドラの蓋を開ければ
自分の中の何かが確実に壊れてしまうことはわかりきっている。
しかし、この問題を素通りしたとして
それは本当に人生を生きていると言えるのか。
ジョン・アーヴィングが『ホテル・ニューハンプシャー』で示した教訓

「開いた窓の前で立ち止まらないこと」

その根源的な問いが、今再び我々の前に立ちはだかろうとしています。

まーしかし、よくよく考えてみますと
すでに吉野公佳は『極道恐怖大劇場 牛頭』で
出産シーン(しかも産むのは赤ん坊ではなく大人の哀川翔)を演じている訳で
AVにそれ以上のモノがあるはずないんですが。



さてさて、ここに問題を抱えた女優がもう一人…

レプリカント広末。

結婚・出産・離婚という一通りのルーティーンをこなしたにも関わらず
微動だにしない彼女のアンドロイド性が私は昔から非常に苦手で
熱狂的ファンの友人とこの話をするといつも
「朝まで生ヒロスエ」が始まってしまいます。

しかしそんな彼女の無菌的ルックスが、珍しくプラスに働いている映画を見ました。
「納棺師」という特殊な職業を描いた

『おくりびと』。(ふー。何とか繋げたぞ、何とか)

モッくんとヒロスエの夫婦ですからね…
ブサイク中年としてはこの時点で「もーやってらんねー」とゆー感じなんですよ。
ダンナはチェリスト(を辞めて納棺師になる)、奥さんはwebデザイナー。
清潔感を通り越して人間離れしている。

ロボですよロボ。ロボ夫婦。

しかしですね、ここにあるドラマが生まれるんです。
ある偶然から納棺師の仕事に就いてしまったモッくんが
いよいよ初めて人間の死体と対面することになるんですが、これが…

死後2週間放置された孤独死の老婆。

その一日散々な目にあって、青ざめた顔をして帰宅するモッくん。
またこの日にかぎって、晩御飯が鶏すき。
大皿の上にきれいに乗っかった鶏のバラバラ死体を見て
思わず吐きそうになるモッくん。
夫を心配して駆け寄ったヒロスエに
いきなりむしゃぶりつくモッくん。
当惑し、恥ずかしがるヒロスエの服をムリヤリ脱がし
涙に濡れた顔を妻の体にこすりつけるモッくん。
ヒロスエのおっぱいも(ブラの上からだけど)揉むモッくん。
ヒロスエの横パン。
ヒロスエの横パン。
ヒロスエの横パン。
ヒロスエの…

生まれて初めてリアルな死に触れ、恐怖とともに生殖本能が刺激されるという
ベタっちゃベタな展開なんですが

これがいいシーンなんですわ〜。

今までロボ面してた2人が、ここで急に人間に見えてくるんです。
モッくんだってヒロスエだって、悩みもするしセックスもする。

俺はお前らが大好きだぁぁぁ!!!

といきなり宗旨替えをした私。
残りの時間、思いっきり楽しんだことは言うまでもありません。


脚本は、放送作家の小山薫堂。
『料理の鉄人』とか『カノッサの屈辱』とかを作った人です。
秋元康とかおちまさととか
売れっ子放送作家ってなんか無条件にむかつくんですが
映画が面白いんだからどうしようもない。
「ここでもう一押しされたら、確実に泣く」ってとこで
毎回きっちり突いてくるんですもん。

加藤鷹にイかされる女性たちも

こんな気分なんでしょうか・・・。

笑いと泣かせの緩急もバッチリで、初脚本とはとても思えません。
そのソツのなさが鼻につくっちゃつきますが。


今年の邦画は面白いのが本当に多いですが
一番賞を取りそうなのはこれかなぁ、やっぱ。悔しいけど。

ちなみに最初に「納棺師の映画を作りたい」って言い出したのは
モッくん自身らしいですよ。
さすが、バケモノ家族に婿入りした男だけのことはある。

本物だ!


(9月13日公開)




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昔は父親の稼ぎが少なかったので
↓主に母親が葬儀屋で働いた金で育てられた私。


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by taku-nishikawa | 2008-08-27 23:59 | ノンセクション地獄 | Comments(9)
中坊DEATHよ!
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週末の朝ってなると決まって

電話をかけてくる奴がいるんですよ。

いや、Sってんですけどね、腐れ縁の。
こっちはもちろん寝てますよ。自由業やってる唯一のメリットですから。

「ぶぐぁーい…もぢもぢぃ…」

ってこっちが露骨に「もっと寝たい空気」出してるのを一切関知せず
「昨日、ビリー・ワイルダーの『深夜の告白』ってのを見たぜ」
といきなりまくしたてるんですな。

「レイモンド・チャンドラーが共同脚本でクレジットされてるんだけど
 まぁ、とにかくハードボイルドな空気の映画な訳。
 主人公は保険の外交員で、顧客にえらいエロ~い人妻がいてさ
 まぁ要するにできちゃう訳だよ、この女と…」

寝ぼけ眼の私も「エロ~い人妻」と来られると
ちょっとは乗ってきちゃいますよねやはり。

「ふむふむそれで?」
「で、男にお決まりの保険金殺人を持ちかける訳だ、人妻が」
「ほうほう…で?」
「面白くなりそうだったんだけどさ、ここで眠くなっちゃって寝た」

…途中!?

休日の朝にさ、ぐっすり寝てる男を叩き起こしてまで聞かせる話ですかコレ?
ちなみに私たちは2人とも映画好きですが、趣味は真反対です。

んーでまぁ、そこからどうにも救いがたい

不毛な長電話

が始まる訳ですよ。

「真夜中、ホテルの廊下を全力疾走で追っかけてくる全裸の淀川長治より
 怖いものはこの世に存在するか?」とか
「“いちゃいちゃ”するってゆーけど
 “いちゃいちゃ”の正確な定義って何だろう?」とかね。

この時点では私ももう何もかもどーでもよくなってしまっている訳で

「いちゃいちゃの“ちゃ”は、やっぱ液体の表現だと思うんだよね。
 こう、粘度の高い液体がさ、つーと伸びて…」 
「とゆーことは、やはり…」
「やはり、粘膜でしょう。
 つまり、粘膜を介在して初めて“いちゃいちゃ”と呼べるんでしょう」

「このテーマで1本論文書けそうだよな…」

こーゆー完全に無内容な会話が毎回2時間くらい続いちゃう訳で。

そんなことしてると、お互いさすがに空しさに耐えられなくなってきて
終盤になるとたいがい、『10代しゃべり場』的展開に突入。

「俺たちに欠けてるものって
 
 一体何なんだろう…」


一見真剣なようだけど、実は絶対に答えが出ないタイプの不毛な問いかけ。
しかし、この日は珍しく明快な答えが提示されたんですよ。Sから。

「俺たちに欠けてるのは、中免だ」

あ、ちなみに私たちは2人とも原付ユーザーです。

「中免?」
「中型免許。原付と中型の根本的な違いって何だと思う?」
「……」
「2人乗りだよ。中型は2人乗りができるんだよ」
「そうか!」
「バイクに2人乗りするカップルってのは、みんな目的はひとつな訳」
「体が…」

「そう。体が密着するんだよ!」

「それは重要なファクターだな、確かに…」
「そうだろ?だから俺、本気で中免取ること考えてるんだよ」
「…よし!オイラも中免取る!」
「……(何か妄想している)」
「……(本気で妄想している)」
「なんかさ、珍しく建設的な結論が出たよな」
「そうだね、なんか、“充実”って感じだよね」
「じゃ、そんなところで、また」
「はいはい。じゃーまた」
「あーい」

…これ、『稲中卓球部』とか『工業高校バレーボール部』の話じゃないんですよ。

現実に21世紀の日本を生きている

38歳と39歳の会話なんですよ!

死ぬまでこんななんですかね、マジで。

てな訳で、とりあえず「中免」を目標に
余生を生きていくことにした私なのです…。





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↓8ミリフィルムの現像ってまだできんのね。


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by taku-nishikawa | 2008-08-26 23:51 | 仁義無き日常 | Comments(8)
『アイアンマン』(2008・米)
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いやーほんとに今年は映画の当たり年。
すでに紹介済みの『ウォンテッド』(必見!必見!)を始め
9月公開作も面白いのが目白押し。
これからの数日は、公開直前特集とゆー感じで参りたいと思います。


とゆー訳で、いきなり大ネタ

『アイアンマン』。

非難の声を恐れずに思い切って申し上げますと
『ダークナイト』の記憶が跡形もなく消えるくらい面白かったです。


先日、町山氏がラジオで次のようなことをおっしゃっていました。

現在のハリウッドの中心は俳優ではない。
たとえトップ・スターのトム・クルーズが主演したとしても
それだけでは客が入らないからだ。
映画の製作資金を出す資本家たちは、映画の素人なので
できるだけ安全なものに投資したがる。
今のアメリカで興行的に最も手堅い素材…それはアメコミである。
だからバットマン、スパイダーマン、スーパーマンといった企画には
資金がじゃぶじゃぶ集中する。
要するに、現代における“ハリウッド・スター”とは
アメコミのヒーローのことなのである。


町山氏は続けて
現在のハリウッドでオリジナル企画を通すことの難しさを嘆いておられました。
以上のような理由で保守化が進み
アメコミものやリメイクばかりが作られるようになってしまったハリウッド。
確かに嘆かわしい現状ではあります。

しかし、悪いことばかりではありません。
クリストファー・ノーランが『ダークナイト』でやったことというのは
「バットマン」というブランドで資金を集め
中身は自分たちがやりたいようにやらせてもらう、とゆーことなのだと。
確かに、結果的に当たったからいいようなものの
あの内容の暗さっていったら尋常じゃない訳で。
『ウォンテッド』にベクマンベトフが起用されたのも同じこと。
一見、守りに入った企画のように見えて
映画の中身に関しては、むしろ先鋭化している。(とゆーか暴走している)

金も才能もアメコミに集中するという現状…だからこそ

今のハリウッドで最も見るべきは

アメコミ映画なのであります!(言い切り)


んでまぁ、本題の『アイアンマン』なんですが
監督のジョン・ファブローって誰ですかこれ?
ああ、『ザスーラ』撮った人。なるほどなるほど。
あれ、妙にオタク臭のする映画でしたもんね。
(私含め、隠れファン多し)

今にも「蒸着!」って叫び出しそうなアイアンマンのルックスに
本編を見る前は「特撮ヒーローマニアが喜びそう」と思ってたんですが
この映画を真芯で捕らえる客層は

ずばりメカフェチ。

とにかくメカメカメカ!メカが凄いの!
男の子にしては乗り物とかにあんまり反応しないタイプの私ではありますが
もー最初から最後まで、脳内メカ性器が勃起しまくり。

メカフェチ君たちのザーメンで

ぬるぬるになったシネコンの床

が目に浮かぶようであります。


しかし、ただのメカ好き君用のズリネタ映画かと申しますと
そうは問屋が卸しません。

キャストがまた最高なんですぉ!

まずは「ジャンキー人生から奇跡の復活」を遂げた
ロバート・ダウニー・ジュニア。
巨大兵器企業の二代目、天才にして遊び人…ってこの役
めっちゃめちゃハマってんですよぉぉ。

ダウナーなダウニーがアッパーに!
(アッパー系の薬やってるって意味じゃないですよ)

ニコラス・ケイジが『ザ・ロック』で中年大ブレイクしたときみたいな現象が
今回、再び起こる可能性も大かと。

加えてヒロインのグウィネス・パルトローがまた非常に良い。
この人がこんなに魅力的に見えたことがかつてあったでしょうか。

シシー・スペイセク化症候群

という難病を患う彼女。
この映画が人生で最後の輝きとなるかもしれません。

テレンス・ハワードの気のいい軍人ぶりもかわいいですし
悪役のジェフ・ブリッジスのスキンヘッドも実に渋く
役者陣の充実には目を見張るものがあります。


実はこの日の試写には漫画家の蛭子能収氏がいらっしゃってまして
終映後、連れションしたんですが
その際『ダークナイト』の話になりまして。
氏曰く「アレ、話がめちゃめちゃ難しかったよぉ~
俺、最後までバットマンが何と戦ってんのかわかんなかったもん」と。
まぁ、それはいくらなんでも…とゆー感じなんですが
そんな蛭子氏でも『アイアンマン』のお話は
「すごーくわかりやすかった」とのこと。

「シンプルかつ面白い」これが一番!


今のハリウッド以外では絶対に作れない映画、『アイアンマン』。
渾身の力でオススメいたします!





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↓2日連続、新妻お呼ばれカレーだ!


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by taku-nishikawa | 2008-08-24 16:12 | アメコミ地獄 | Comments(9)
『ア・ダーティ・シェイム』(2004・米)
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今朝も台所で後ろからがっついてきた発情夫を拒む
セックス嫌いの主婦・シルヴィア(トレイシー・ウルマン)。
このところ彼女の住む町が、少しおかしい。
隣の夫婦はいつも全裸暮らしで周囲にセックスを見せつけるし
最近近所に越してきた巨漢の3人組は、明らかにゲイの集団生活。
白昼に庭で堂々とマスターベーションをする男まで現れる始末。
シルヴィアは身内にも問題を抱えている。
実を言うと、シルヴィアの娘・カプリース(セルマ・ブレア)は
超爆乳(目測2メートル)のストリッパー志望。
放っておくとすぐ裸になりたがるので、部屋に鍵をかけて軟禁してある。
そんな町の変化を憂慮する、お堅いシルヴィアなのだったが
セックス教の教祖・レイ・レイ(ジョニー・ノックスヴィル)が
彼女の隠れた才能を見抜く。
シルヴィアこそ「セックスの素晴らしさを世に伝える、12番目の使徒」だというのだ。
あんたナニ言ってんのって感じの彼女だったが、その直後事故で頭を打ち
目覚めた彼女は「クンニの鬼」(やる方じゃなくてやられる方です)と化す。
時を同じくして町中の変態たちが一斉蜂起。
平和だった街に、ザーメンと愛液の嵐が吹き荒れるのだった…。



…まぁ粗筋をお読みになった時点でお察しがついたことと思いますが
そうです。監督はアノ人です。

変態王ジョン・ウォーターズ。

自分が昔作った『ヘアスプレー』がリメイクされ
アメリカの家族連れが「いい作品だ勉強になる」言うて
大挙して劇場へ押しかけていた時期に

ここまで低俗な映画を撮っていたとは!

年取っても丸くなる気配、寸分も無し。さすがです。


トレイシー・ウルマンもセルマ・ブレアも
品性のかけらもない演技でかなりいい線行ってるんですが
ノックスヴィルは教祖役にしてはちょっとインパクト足りなかったかなぁ。
『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』のスティーブン・ドーフの方が説得力ありました。
まぁ、ディヴァインがもしまだ生きてたら
この役は文句なしに彼女(彼?)のものだったでしょうが。

しかしこの映画、とにかく小技が凄い。
前編に渡って昔懐かしいポップスみたいのがかかってるんですが
この歌詞が全部エロ。

僕のチョコ味のアイスバーをさダーリン

ペロペロしちゃうんだ彼女…ドゥワップ!

みたいなね。
(いったいどこでこーゆーの探してくんでしょうか…)

美術さんもアホらしいとこに気がきいていて
背景にある「木の股」がじっとりと濡れていたり
淫乱女が歩くのにつれて
横にある植え込みが「ビン!ビン!ビン!」って勃起したり…。

私が一番笑ったのが、頭を打った人たちが変態に変身するシーン。
サイレント期の映画やら、昔のテレビとかから持ってきた
エロい感じの断片をばーって繋げてあるだけなんですが
これがやたらとおかしいのです。
この件に関しては、後でスタッフロールの中にある懐かしい名前を発見。
『バスケット・ケース』の

フランク・ヘネンロッター。

この昔のフィルム探してきたのが奴ってことらしい。
いやー「類は友を呼ぶ」と申しますか

変態同士、仲の良いことで何より。






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↓5万円が天上へ。昨日。パチンコ。


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by taku-nishikawa | 2008-08-23 12:31 | お色気地獄 | Comments(2)
『FULL METAL極道』(1997・Vシネ)
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喧嘩も弱く気も弱い、オマケに短小包茎で
自分の女にも弟分にも舐められているヤクザ・鋼(うじきつよし)。
それでもこの稼業を続けているのは
自分を拾ってくれた兄貴分を尊敬しているからだ。
しかし昔かたぎのこの兄貴は組織の邪魔になり
役立たずの鋼もろとも、仲間の手によって蜂の巣にされてしまう。
一度は完全に死んだ鋼であったが
謎のマッドサイエンティスト(田口トモロヲ)の手により、人造人間として蘇る。
鋼の体には、兄貴の心臓と手足、背中の龍の刺青
そして鬼のように巨大なチンコが移植されていた。
「兄貴は俺の中で生きている…」復讐の鬼と化した鋼は
その超人的なパワーで、裏切り者たちを血祭りに上げていくのだった…。



『クローズZERO』の感動も記憶に新しい三池崇史の低予算Vシネ映画。


FULL METAL極道“鋼”スペック


極道ボディ:超合金製でピストルの弾を撥ね返す。
      「白鳥の湖」チックな防御体勢を取るとさらに完璧。
極道ライトアイ:赤外線センサー。
極道レフトアイ:透視能力。
極道イヤー:半径1キロ内のすべての音を聞く。
極道フード:金属。ネジとかバネに牛乳をかけて食べる。
極道チンコ:モザイクがかかっているが、30センチくらいはありそう。
弱点:感情が昂ぶると脳がオーバーヒートを起こす。
   ロシア語の子守唄を歌うと鎮まる。


マッドサイエンティストの目的は最後まで謎のままですが
言動のはしばしから推察すると、どうも自分の手で

ゴレンジャーを作りたかったらしい。

映画の後半で女の死体をいじくっているシーンがあるのですが

「モモレンジャーはこんなブスじゃだめなんだ!」

と力の限り叫んでいます。
ほんと田口トモロヲはこういう変態役が好きですねー。
いまだに「プロジェクトX」ネタで
キャバクラ嬢を喜ばしているという噂は本当なのでしょうか。


大杉漣が悪役で出てるんですが
日本刀で首をちょん切られたあげく
その首をFULL METALパワーでぶん投げられ

変な顔したまんま数百メートル飛んでいく

とゆー素晴らしすぎる死にっぷり。

後に『龍の如く』の主役を張ることになる

“ミスターVシネ顔”北村一輝

も、主人公の親友でありながら敵対することになるオイシイ役で好演。
ほんと、この濃いい顔はビデオに映える。


頭の働かないうだる熱帯夜に最適な
見ても何の役にも立たない三池流ロボコップでありました。
あー早く『クローズ2』が見たいなー。





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↓調子最悪。


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by taku-nishikawa | 2008-08-21 23:13 | SFホラー地獄 | Comments(9)
『女王陛下の戦士』(1977・オランダ)
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1937年、オランダ。
同じ下宿に住む、親友同士の男子学生7人。
ほどなくして大戦が勃発。
あるものは祖国のために戦い、あるものは敵側になり
それぞれの分かれ道を歩んでいくという群像劇。


地獄大使ポール・バーホーベン

がオランダ時代に撮った第二次大戦もの。
ナチス占領下のオランダを脱出し
イギリスに疎開中だった女王直属の兵士となる主人公を演じるのは
この数年後に『ブレードランナー』で大ブレイクすることになる

ルドガー・ハウアー。

若いです。めちゃめちゃかっこいいです。

当時のオランダでは史上最高の予算で作られたという、れっきとした歴史大作。
一見、ナチスの暴力に屈しなかった自国民を褒め称える
国威発揚映画のようにも見えますが
(原題は『Soldiers in Oreange』。オレンジはオランダのナショナル・カラー)
どこを切っても苦い苦い皮肉の汁がしみ出る
“負の戦争映画”『スターシップ・トゥルーパーズ』を撮ったバーホーベンですから
そんな単純な話で終わるはずもなく。

ナチス統治下のオランダというと
すぐに『アンネの日記』を思い出してしまう私ですが

この映画、妙に明るい。

陰惨な部分が描かれていないかと言うと、まったくそんなことはなく
拷問シーンもあれば、人体破壊描写も収容所の悲惨もあります。
人は(主要登場人物も含め)ばったばったと死んでいくんですけれども
どこか、あっけらかんとしている。
…しかもこの映画

異常に下ネタが多い。

この映画の主人公たちは
ナチスの脅威下にあっても、まったくへこたれた様子を見せず
飲みたいときは飲み、笑いたいときは笑い
隙あらば、やらせてくれる女を捜しているのです。
いみじくも北方謙三先生がおっしゃっています。

「人の死を悲しむヒマがあるなら

 ソープへ行け!」


まぁここらへんがバーホーベン面目躍如というところ。
こんな国の威信を賭けたような大作で
自分の思うとおりの作りをしてしまうところが凄い。


個々のキャラクターが実に魅力的に描かれていて
正とか邪とか、勇気があるとか卑怯だとか
そんな単純な図式で割り切れる人間は一人も出てきません。
それぞれの人間が、それぞれ全力で生きて
それぞれの道をラストまで駆け抜ける。

とにかく理屈ぬきに面白い!


バーホーベンのオランダ時代の作品は
昔、1本だけ見たことあったんですけど(たぶん『四番目の男』)
それは何かやたらと観念的な話で、今ひとつだったので
他のも似たようなもんだろと思ってたのが完全な盲点。
考えてみると、そんなんばっか撮ってて
ハリウッドに呼ばれる訳ないですよねー。


ウンコ色した傑作がずらりと並ぶバーホーベンのキャリアですが
下手したら

これが最高傑作かも・・・。

(でもなぁ…やっぱ『ロボコップ』が好きかなぁ…うーん…)

でまぁ、この監督の戦争観って結局どんななん?ってとこなんですが
『ブラック・ブック』とこの作品に共通してるのは
戦時下だろうが何だろうが、面白い奴は面白いし
つまんない奴はつまんねぇ、ってとこですかね。
ま、そう一筋縄では行きませんわな。
年齢的に言っても(38年生まれ)、直接戦争体験がある世代な訳で。
今なら『ブラック・ブック』という新たな教材もありますので
「バーホーベンと戦争」というテーマで掘り下げたら
かなり面白くなること間違いなし。
(自分で掘り下げるのは面倒なので誰かにやってほしい)


てな訳でファンの方もそうでない方も必見の映画でございます。
DVDも出てるので探してみて下さいまし!





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↓次はハリウッドでの一作目『グレート・ウォリアーズ/欲望の剣』を発掘するどー。


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by taku-nishikawa | 2008-08-20 23:53 | 戦争はらわた地獄 | Comments(6)
『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(2007・米)
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高校卒業を間近に控えた、幼なじみのセスとエヴァン

2人はもちろんオタクで童貞。

彼らは焦っていた…このまま高校生活を終えてしまっていいのか?
しかしモテない2人に大チャンス。
クラスメートのパーティーに初めて参加が許されたのだ。
酔った勢いでもしかしたら女の子と…つーかもうココで決めるしかない!

もちろん財布にコンドーム持参だ!

しかし天国の扉を開くには、パーティーの酒を調達するという条件が。
「そんなの簡単じゃん?」というのは日本の話。
アメリカでは未成年がアルコールを手に入れるのは至難の業なのだ。
そこへ、偽造IDカードを持ったフォーゲルと言う同級生が。
こいつが2人に輪をかけて友達のいない

独自の亜空間を持つ男。

「下には下が」…人間って悲しい生き物。
しかたなくこのメガネ君を仲間に引き入れ、
颯爽と街へ繰り出す彼らだったが…
まぁ、そんな簡単にうまく行っちゃ映画にならない。
童貞3人組を待ち受ける、数々の試練。

一夜の地獄めぐりが始まるのだった…。

(ちなみに主人公「セス」「エヴァン」は脚本家コンビの名前)


インディーズ製作、有名俳優ゼロ
小規模公開から口コミで記録的大ヒットへ。
2004年の『バス男(原題Napoleon Dynamite)』の再来と言われた本作
実際、『ゴーストワールド』から始まり、『アメリカン・ビューティー』を経て
『バス男』から『ジュノ』へと到る

アウトサイダー側から見た

アメリカ高校生活


を描いた一連の作品の流れの中にある1本と見て間違いありません。
(エヴァン役のマイケル・セラは本作の後、『ジュノ』の準主役に抜擢)

プロデューサーは『40代の童貞男』のジャド・アパトーとゆーことで
映画の中心テーマはやはりコレ。

大人の男になるって

どういうこと?


主人公2人が幼なじみという設定がミソで
これが実に深く、アホらしいドラマを生み出します。
互いに心の中では

こんな奴と一緒だから

いまだに童貞なんだ


という不満を抱いており
いざ相手がうまく行きそうになると足を引っ張り合う。
「俺はお前よりはマシだ!」
「お前と過ごした10年間、全部ムダだったよ!」
とついつい本音が口に出て、傷つけあう。
そして狂乱の一夜が終わった後、抜け殻のようになった2人は

互いのすべてを許しあい

抱き合って眠るのでした…。


童貞であることの醜さ、滑稽さ、悲しさ、そして美しさ。

童貞をこじらせることの尊さ

をここまで描ききった作品を、私は他に知りません。
そして彼らを待ち受ける、どこかほろ苦い結末。

大人の階段のぼる

君はまだ シンデレラさ

と昭和の名曲には歌われておりますが
その階段を昇りきってしまった先には、何が待っているのか。
その答えを実に叙情的な形で示した、見事なラストシーンでありました。


さて、この映画を見て最初に私の頭に浮かんできたのは

『天才バカボン』のとあるエピソード。

これを読んだ当時、私はおそらく小学校低学年。
たまたま親が買ってきた少年マガジン(※)に載っていたその漫画を読んで
何とも複雑な気持ちになったことを覚えています。

ストーリーの全体像はいっさい記憶にないのですが
バカボンパパとか、レレレのおじさんとか、本官さんとかいった
この漫画の中年男性キャラクターがラストで総出演。
何がきっかけだったのか
彼らは口々に「おがあちゃ~ん!」「ママ~ン!」と母の名を呼びながら
互いの乳首をまさぐり始めるのです。
そして最期のコマは

全員が数珠繋ぎのようになって

泣きながら乳首を吸いあっている絵。

まだ子供だった私には、彼らの感情が汲み取れるわけもなく
しかしなぜか鮮烈な印象とともに、このシーンだけが記憶に残りました。
そして現在39歳の私がそれをどう見るかと言いますと


1000%感情移入。


生きていく過程のどこかで童貞を失い
大人にならざるを得なかった男たちの悲しみ…。

赤塚不二男の訃報にふれたのはこの映画を見た数週間後でしたが
私にとっての赤塚は、こういう言葉にならない感情をすくい取ってくれて
いつでも「ああ、人間これでいいんだ」と思わせてくれる
魂のセーフネットのような存在でした。


天才・赤塚不二男と

失われたすべての童貞のために


黙祷。


※『天才バカボン』は1969年に「マガジン」から「サンデー」に突如移籍。
 その後半年ほどで打ち切りになったらしいのだが
 私が読んだのがどちらの雑誌だったのかははっきりしない。






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↓ジャンプの出ない 月曜日ほど 淋しいものはない


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by taku-nishikawa | 2008-08-18 14:36 | お笑い地獄 | Comments(0)
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