“ぺドファイル”という言葉をご存知でしょうか。
ロリコンにショタコン…いわゆる幼児性愛者のことです。
この映画はアジアで現実に行われている
幼児売春、人身売買、臓器密売といった
ハードすぎる問題に真正面から特攻を挑む
洋・邦問わず本年度ダントツの
超・超衝撃作。
大人の欲望にまみれ、毎日のように失われていく罪のない子供たちの命。
タイに駐留する新聞記者・南部(江口洋介)は
NGO職員・音羽(宮崎あおい)、
フリーカメラマン・与田(妻夫木聡)とともに
タイ社会“暗部”の取材を開始する。
しかし、虐げられる子供たちを救おうともがけばもがくほど
彼らの前に残酷な現実が立ちはだかるのだった…
映画を見てまず仰天するのが
子供たちが虐待される姿の
ハイパーエクストリーム描写。
親元から売られた10歳にも満たない子供が
地下の檻に監禁され、劣悪な環境下で売春を強要される。
トランクに入れられ“お持ち帰り”される子供。
性器にバイアグラを注射されショック死する子供。
エイズに感染して働けなくなれば
ビニール袋に詰められゴミの山に捨てられる…
そんじょそこらのスプラッタ映画が
おままごとに思えてくる凄まじさ。
70年代の東映でもここまでやんなかったよ…。
しかしこの映画が本当に凄いのはここから先。
単純に悪を告発するだけでは終わらず
我々自身も加害の一端を担っている事実を暴いていくのです。
幼児の裸体をビデオに撮り
インターネット上で仲間と自慢しあう日本人の男。
自分の子供に心臓移植を受けさせるため
ドナーの子供が殺されることには目をつぶろうとする日本人夫婦。
さらには音羽、与田といった主人公側に立つ若者たちも
“自分探し”という、切実な現実を生きる現地の人間からすれば
ひやかしとしか思えない曖昧な動機で行動している。
日本人の観客、まったく逃げ場なし。
見た人全員が「自分の問題」として考えざるをえない。
こういうのをよくできた脚本というのでしょう。
見てる間、何度鳥肌が立ったことか…
終わった後も、言葉が出ませんでした。
初めての海外撮影にこのテーマを選んだ
坂本監督の勇気に大拍手。
ほんと、生半可な度胸じゃ作れない映画です。
こういう映画にトップ俳優が揃うというのも素晴らしい。
特に宮崎あおい、あなたには私から個人的に
国民栄誉賞をあげたい。
…「個人的な国民栄誉賞」というものがあるとしてですが。
「人類みな変態」
と公言して憚らない私でありますが
誰かの犠牲を前提とした変態は
やはりあってはならないことだと反省しました…。
やっぱ変態は愛がなくちゃね!
それにしてもこの夏の邦画ラインナップ
一体どうしちゃったんでしょう。
『歩いても歩いても』『クライマーズ・ハイ』『ぐるりのこと。』と
力作中の力作揃い。
このクソ暑いのに映画館通いが止められないじゃないですか。
そーゆー意味でも真夏の日本に冷や水をぶっかけるこの映画…
見ろ!そして凍えろ!
(8月2日公開)
ブログランキング〜
↓なんですって!オリコン5位以内に入らないと解散!?