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漫画家Nのイラストと文章で綴る映画な日々

にしかわたく (漫画家)

マンガ家・イラストレーター。生まれて初めて劇場で見た映画は『グリズリー』と『テンタクルズ』の二本立て。
現実逃避のスピードを極限まで加速すればいつか現実を追い越せると信じ、今日もロスト・ハイウェイをひた走る36歳、デブ専。
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『エロ将軍と二十一人の愛妾』(1972年・東映)
『エロ将軍と二十一人の愛妾』(1972年・東映)_e0000251_22154067.jpg

2日続けてウンコウンコ叫んだらスッキリしましたので
本日は初夏の風のように爽やかな1本をご紹介したいと思います。

『エロ将軍と二十一人の愛妾(めかけ)


時は江戸、10代将軍家治の時代。
実質の権力を握っていた老中・田沼意次は
次期将軍に一ツ橋家の豊千代を強引に推挙した。
この豊千代、勉強の虫でクソ真面目なのはいいのだが
女についてはからっきし。
そこで将軍になる前に吉原で筆下ろしを、ということに。
しかしコトの最中、相手のおいらんが膣痙攣を起こし
女性器恐怖で再起不能になる豊千代。
将軍候補を失い、困り果てた田沼意次に助け舟を出したのは
女ネズミ小僧・弁天のお吉。
彼女が身代わりとして連れてきたのは
豊千代に瓜二つの風貌を持った、角助という男であった・・・

好色で知られる徳川11代将軍家斉は

実は農民の出だった?

という陰謀史観的パラレル時代劇。



初めて実物の女体を目にした豊千代とおいらんの会話が
この映画の雰囲気をよくあらわしておりますので
以下、そのシーンより引用。

「何だ、この豆のようなものは?」
「これは小さくとも、ゆっくり煮詰めれば
 次第に膨らんでくる豆でありんす」
「何豆と申すのじゃ。大豆か?えんどう豆か?いんげん豆か?」
「あちきのは“よがり豆”でありんすえ」
「何、よがり豆?」
「めしあがるコツは、とろ火でとろとろと煮立て
 このようにほどよく煮立ったところへ
 松茸をあしらえるのでありんすえ」


映画の前半は終始この調子で
こりゃただのエロバカ映画かと思いきや
後半、物語は

どんどんすごいことになっていきます。


農民パワー爆発で精力絶倫の角助。
最初こそ大奥とやりたい放題で幸せいっぱいでしたが
「権力は人を狂わせる」という昔からの言葉どおり

家来のチンコぶった切るわ

田沼意次の女房と娘いっぺんに犯すわと

徐々に常軌を逸した行動に出始めます。
地元の越後から呼び寄せた幼なじみのお菊が
大奥で責め殺されるに及んで

ついに角助発狂。

重罪を犯した囚人たちを江戸城に呼びよせ
大奥を前に「お前らの好きにせい!」と宣言したからさぁ大変。

一大乱交パーティの始まりです。

この地獄絵図に1人ほくそ笑む、女ネズミ小僧・弁天のお吉。
すべては徳川家に恨みを抱く彼女が描いたシナリオだったのです。

これがほんとのエロテロリスト。


混乱のさなか腹上死した角助にかわり
将軍になった豊千代には嫡子ができず

農民の角助や罪人

下賎のものたちの血が

徳川家の中に息づいていく・・・

という、何とも挑発的な含みを持たせて映画は終わります。



私の下手な文章でどのくらい伝わったか不安ですが
骨太のアナキズム魂を、伝奇時代劇のかたちに見事にまとめあげ
その上にエロと笑いで徹底的に観客を楽しませるという
マルキ・ド・サドの小説のような重層性。


This is the 映画。


ちょっと他に類を見ない、目からウロコの傑作であります!







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『エロ将軍と二十一人の愛妾』(1972年・東映)_e0000251_043446.gif
by taku-nishikawa | 2007-06-07 22:22 | お色気地獄 | Comments(4)
Commented by 天野 at 2007-06-08 00:23 x
同年代の東映『大奥浮世風呂』とかいかがですか。
こちらは主人公の志賀勝が女装して便所から忍び込んで糞尿まみれになるとか、
汐路章の男色シーンとか、悪趣味さでは負けておりませんが。
やはり幼馴染が死んでしまって、志賀が将軍様のチンコ切り落として、
道端に放り捨ててカラスに食わせるラストシーンはシュールでさえあります。
Commented by taku-nishikawa at 2007-06-09 11:56
天野さま
そのラストシーン、めっちゃ見てみたいっす!
石井輝男のフィルモグラフィーとか見ると
「江戸なんとか刑罰史」みたいのがいっぱいありますが
なんでしょう、きっとここらへんって
ひとつのジャンルとしてある程度連動してたんでしょうね。
セットもかなりお金かかってそうですから
色んな映画で使い回してたんじゃないかと想像するんですが。
Commented by 天野 at 2007-06-09 22:43 x
60年代中盤からの映画産業の衰退から、邦画各社はエログロ路線を模索していたわけですが、強烈だったのが東映ですね。特に石井輝男監督の『徳川女刑罰史』がヒットしてからは石井監督に「異常性愛」路線の作品を撮らせて、その他の監督にも撮らせて、凄い数の作品群を送り出していましたね。そんな中から『大奥(秘)物語』みたいな作品も出てくるわけですが。そんなこんなで、ベテランや新人が入り混じって各種エログロ時代劇を量産していたわけで、社内的にその混迷期を脱して、『柳生一族の陰謀』で時代劇復興なんて当時宣伝していた事に関して、ちょっとだけ「ケッ」と思ってしまうわけですが。
それでも石井輝男や牧口雄二の一連の作品とかは素晴らしいですね。『女獄門帖・引き裂かれた尼僧』は墓場まで持って行きたい映画です。
Commented by taku-nishikawa at 2007-06-10 17:22
天野さま
なるほどー。過渡期のあだ花だったと。
ま、要するに昔の邦画には
まだまだいっぱい私の知らないお宝が眠っているということですな。
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