いやぁ、やっと見れましたよぉ。
うちの近所のビデオ屋、1本(DVDだから1枚か)しか入荷しないんだもん!
ここ、品揃えが結構マニアックだし
1本100円で見れるからご愛顧しまくってるけど
こういうとき困るんですよね…
平凡で善良に見えた夫が
ちゃら〜ん!
実は元マフィアでした。
とゆー
えっコレ、クローネンバーグですか?
ぐちゃぐちゃどろどろずるずるむけむけ
でおなじみの
カナダ一の変態クローネンバーグさんの作品ですか?
と聞いてしまいそうなシンプルなお話。
別に監督の名前を意識しなくても、普通に面白く見れちゃいます。
エド・ハリスめっさ怖いし。
ウィリアム・ハートの顔、赤ちゃんみたいでかわいいし。
・・・しかしねぇ、やっぱ
相当の意地悪ですよこの監督。
主人公のオッサンは、血みどろの過去を隠して
平穏な家庭生活を送っているわけなんですけれども
いったん本性を現すと
界王拳10倍!!!
ってくらい強いんですよ。
悪魔のような動きで次々と人間を殺していく様はまさに芸術。
アート・オブ・ウォー。
基本的にリアルで地味な描写が続く映画なので
何か、このシーンだけ違うジャンルの映画みたいなんです。
当然、観客はそのめくるめくアクションに引き込まれますわな。
で、その
“暴力”に対して
“平穏な日常”がある訳なんですが
これの描き方がねぇ、なんかもう
悪意に満ちてるんですよ。
象徴的なシーンが、前半にある夫婦のベッドシーン。
中年も中年のかみさんが
チアガールのコスプレして
ゴー!ワイルドキャッツ!
とあらぬことを絶叫しながらダンナに迫るんですね。
いや、いつもの私だったら
この家庭内のささやかな変態行為を
どちらかというと幸せなシーンとして受け取ったと思うんですけど
こうクローネンバーグと長くつきあってると
あのオッサンが、この夫婦を暖かい目で見てる感じがどうもしてこない。
ちゃんと仕事をして、それなりの収入があって
家もあって、子供たちはいい子に育っているけど
どこかが歪んでいる。
ハツカネズミが夢中になって車輪をくるくる回すけど
結局全ては籠の中、みたいな閉塞感をどうしても感じてしまいます。
こんな悪趣味なもん先に見せられちゃあ
観客はみんな、前述したど派手な殺人シーンで
「こっちのヴィゴの方が素敵!」
って思っちゃう訳です。
はい、これすべて
クローネンバーグの
目論見どおり。
変態カナダ人がほくそ笑む姿が見えるようじゃあーりませんか。
実はこの映画にはもうひとつベッドシーンがありまして
そこでこの対比がさらに強調されます。
本性を現したダンナが
階段からずり落ちながらかみさんを犯す
というとんでもないシーン。
口ではダンナの暗黒面を否定するかみさんですが
どっちのシーンの方が感じてたかってゆーと・・・
はい、もうみなさんおわかりですね。
見た目よりヤバい映画なんです、ほんとに。
同じテーマを扱ってても、どこかガキっぽい『ファイト・クラブ』なんかより
私はこっちの方が怖かったですね。
またこの映画、もうちょっと引いた視点で眺めてみると
「 人は本性を隠したまま幸せになれるのか?」
「それで本当に人を幸せにできるのか?」
ってテーマも見えてきます。
個人的な話になりますが
私、大学が全然楽しくなくて2年までほとんど授業に出なかったんです。
で、もうやめちゃおうかなぁって思ったんですけど
私が大学に受かったときの祖父の喜びようが脳裏に浮かんできましてね・・・
自分のわがままでおじいちゃん泣かすのも何だかなぁってことで
それからいやいやながら学校に通い
ずるずる6年かかって、何とか卒業だけはしたんですわ。
で、学歴がまったく関係ない今の仕事。
「たく・・・お前・・・結婚は・・・」
とか言いながら
おじいちゃん去年死んじゃったし。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
ま、色々考えさせる映画はいい映画ってことでね。
うくく。
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