・・・久保田くんさぁ、
この胃痛、完全に君が原因なんだけど
どうしてくれるん?
せっかくジェフが帰ってきたってゆーのにさ・・・
まぁ愚痴を始めると長くなるのでここらへんにしときますが
頼むよほんとに。久保田くん。
カズオ・イシグロの新作
『わたしをを離さないで』がめちゃめちゃ面白かったので
その話をしたいところなんですけれども
この本はぜひともネタバレなしで読んでいただきたいので
同作家の代表作をジェームズ・アイヴォリーが映画化した
『日の名残り』について書きたいと思います。
あるイギリス貴族に仕えた、忠実な執事と、女中頭の物語。
個人としての感情に蓋をして、仕事に全てを捧げる主人公と
彼に恋心を抱いて、何とか男の仮面を剥がそうとする女。
男女の心の微妙なせめぎ合いと
善良すぎるあまり、結果的にナチスに協力することになってしまった貴族の没落。
このミクロとマクロの物語が絶妙のバランスで綴られる
これぞ映画!というべき傑作であります。
この映画、とにかく原作となった小説が素晴らしいので
映像化に際して抜け落ちてしまったものについて
当然ひとことふたことはあるところなんですけれども
それを補ってあまりあるのが、主演の二人の存在感。
アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソン。
二人とも説明不要の超実力派です。
特にこの映画のホプキンスはある意味
レクター博士以上にヤバい。
仕事には絶対的な自信を持っているのに、こと恋愛となると
心のカントン包茎。
子供にありがちな行動として「好きだから虐める」というのがありますが
こいつはそれ以下です。
心の底ではエマ・トンプソンのことが好きなのに
相手がどんなにモーションかけてきても無視、無視、無視。
業を煮やした彼女が
最終手段として他の男との結婚をほのめかしても
顔色も変えず「それはおめでとうございます」の一言で片付ける。
絶望して号泣してる彼女に何言うのかと思ったら
「テーブルに埃が残ってたから注意して下さい」とダメ押し。
ジ・エンドです。
こんなやつが実際にいたら殴ってやりたいところですが
ブラウン管にパンチ浴びせたところで手が痛いだけ。
よって観客は死ぬほどイライラします。
しかもこの男
自分が失ったものの大きさに気づくのに20年もかかる。
いくらなんでも鈍すぎです。
老境に入ってやっと自分の間違いに気づき
最初からやり直そうとして彼女に会いにいくのですが
そこには映画史上に残る
苦い苦い結末が待っています。
永遠の薄明(日の名残り)の中で
自らしたことに罰されながら生きていく男。
辛いけど面白い、面白いけど辛い
大好きな映画です。
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