私、昔から
人が料理してるところを見るのが好き
なんです・・・
実家にいた頃は、学校から帰ってくると
ほとんど毎日、台所のそばの椅子に座って
母が料理しているのを眺めていました。
(マザコンと言いたければ言いなさい あー言いなさい)
一人で外食するときは
カウンターのある店なら必ずそこに座ります。
手際のいいコックさんの手元を見ていると
何だかそれだけで落ち着くような
でも同時にわくわくするような
不思議な気分になります。
もし榊原郁恵がうちのアパートにやってきて
裸エプロンで台所に立ってくれたとしても
私の興味は7対3で
おっぱいよりも料理に向かうと思います。
(井森美雪でシュミレーションを行おうとしたら
脳血栓を起こしそうになったので止めました・・・)
『バベットの晩餐会』『リストランテの夜』『ディナーラッシュ』『タンポポ』
そんなこんなで私の好きな映画ランキングには
料理がらみの映画がずらりと並ぶ羽目になるわけです。
で、肝心の『かもめ食堂』の感想。
私はこの監督のデビュー作『バーバー吉野』がまったくダメだったんですが
『かもめ食堂』の世間での評判の良さを耳にするに及んで
「あ、今回は演出の感じが変わったのかな」と思っておったのです。
が・・・
ぜーんぶそのまんまでした。
ギャグセンスは相変わらず中の上といったところ。
テンポもゆったりして気持いいというよりも
ぬるい、たるい、ゆるい。
唯一特筆すべきは小林聡美の一世一代の演技。
代表作『やっぱり猫が好き』よりさらに一皮むけたような感じで
主役としてのオーラをギンギンに振りまいてました。
あとはもう平凡としか言いようがない。
でも・・・でもね、この映画
妙な空気を持ってるんですよ。
私の席の後ろに中年夫婦が座ってました。
この夫婦がもう、上映中にしゃべるしゃべる。
「あれがもたいまさこなのか?」
「フィンランドじゃザリガニ食べるのね〜」
「なんで味噌汁は出さないんだ?」
いつもの私なら
「ここはお茶の間かぁぁあ!!??」
・・・とブチきれるところなんですが
なぜかこの映画、そういう観客を許すような雰囲気を持っているんです。
映画が終わってエンドロールが流れているとき
ダンナさんの方がこう言いました。
「全然期待してなかったけど、意外と面白かったな・・・」
何だかこの言葉が、この映画の醸し出す不思議な幸せ感を
すべて体現しているような気がしました。
去年の『三丁目の夕日』のときもそうだったのですが
観客席にいる人たちが
すごくリラックスして、心を開いている感じがしたんです。
こういう映画って
ありそうでなかなかないものです。
はっきり言って、この映画の良さは
監督が計算したものではないと思います。
フィンランドの空気と俳優とスタッフが
日本映画と不思議な化学変化を起こして生まれた
言ってしまえば、偶然。
これは非難ではありません。
傑作というのは、人間の力だけじゃ作れないものなんです。
どんな名匠にも駄作があるのは、そういう訳なんです。
こんなだから
映画っていくら見ても飽きないんだと思います・・・
(長文御免)
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